投資は情報量と分析力がすべて

ファンダメンタル、テクニカルの双方を見ながら経済の先行きを分析します(内容は自己見解に基づきます。投資は自己責任でお願いいたします)

ソフトバンクのIPOは買い!で良かったのかを分析

今週、大型で注目されるソフトバンク(通信事業)の上場が19日に予定されています。

 

既に年末であるため、ここから個別株の分析や世界情勢を議論しても、私としては「どうせ年末だしあんま動かないっしょ」というモチベーションになってしまうので、ここは今年最後の目玉を分析したいと思います。

 

ちなみに私は応募していませんし、買うつもりも一切ありません。

 

結論は買いではないということになります。

 

・ 現在の利益に対し、1500円の株価は高いです。また時価総額が大きいです

・ 配当5%は魅力的ですが、配当が高いことは積極的に株を買う理由にはなり難いです。安値での買い支えにはなると思います

・ ソフトバンクの成長戦略は1,2年のスパンではポジティブな要因を見出しにくく、5Gの出現まではドコモ、KDDIに次ぐ3位に留まるものと考えます

・ よって、短期的に利益が大きく上昇する可能性は低い一方で1500円の株価は高いと分析しましたので、私は買いに向かうことはありません

・ 頼みはイナゴの襲来ですが、時価総額が大きすぎて株価が2倍3倍になる可能性は低く、また人気化し易いような話題も見当たりません(通信霜害等の負の話題の方が多いかもしれない)

 

 

分析

皆様、個別株に投資する際にしっかりと読んでいますか?有価証券報告書

企業の現状分析は、有価証券報告書を読まずにはできないと言えるほど大事です。

 

ソフトバンクの「新規上場申請のための有価証券報告書」を以下に貼り付けます。

https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000003nv6x-att/12SoftBank-1s.pdf?fbclid=IwAR1EuBfitKe8bcHM6g_5WxoDQTFkQudugP_5ClRjnVLVvBEx_ayW7hxk6QU

(WOW!282ページ!面倒!!)

 

A)現状分析

・ 事業規模が大きいだけあって売上、利益は安定推移 = 大きな成長は見込めない

・ 営業利益率は20%弱(18%前後くらい) =後で他社と比較

・ 営業CFが赤字 = 普通黒字ですが、通信事業の特殊性?

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主要経営指標の推移

 

 

では続いて、横並びで主要各社の経営指標を比較します<転載元:【業界研究:通信】NTT東日本、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI。通信インフラ大手4社の業績、社風、災害対策まで徹底比較!|就活サイト【ONE CAREER】>。ちなみに、以下ではソフトバンクは通信事業以外の事業が含まれることにご注意下さい(ソフトバンクの経営成績に占める通信事業は小さい)

 

 KDDI,ドコモは通信事業が占める割合は70, 80%程度とのことです。以下の図は大体通信事業の成績とみなします

 

・ 利益率(経常??)はドコモが唯一の20%超え。KDDI、NTT東と続いてソフトバンクが最下位

・ 通常は、事業規模が大きいほど固定費が減らせるため、利益率は高くなります

・ 上の表によれば、新規上場するソフトバンクの営業利益(経常利益より高くなります)ですら18%程度と、ドコモ、KDDIには及ばない

 

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主要各社 経営指標の比較

 

さらに、一般常識を基にすれば、契約回線数はドコモ>KDDIソフトバンク

 参照:総務省が最新のキャリアシェアを発表、ドコモが首位を維持するもauがジワジワ追い上げ | カミアプ

 *携帯だけのシェア?であれば、インターネット回線を合わせると多少は変わるかもしれません。

 

ソフトバンクの累計契約数(対コンシューマ)

・ 以下表のとおり、この1年間でソフトバンクの通信サービス、物販等売上げがほとんど変化なし

・ ブロードバンド(ソフトバンク光って最近電機屋で見ませんか?)は24%の急増を実現するも母数自体が小さく、モバイルの売上低下で完全打ち消し

・ 売上は0.6%増加も利益は5.9%のマイナス。他社からの乗換えのための戦略(他社から乗換でキャッシュバック等)で利益率が悪化したか

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ソフトバンク 業績全般内訳

ちなみに、BtoB事業も同様でした。売り上げは2.6%増、利益は0.9%と微増。コンシューマ売上:法人売上=3:1程度

 

以上をまとめると、現状分析としては、

 

ソフトバンクの通信事業はドコモ、KDDIに次ぐ国内三番手に位置する。従って規模を武器とした利益率改善や顧客獲得が難しく、短期的な業績拡大を見込むことが困難。

・ ソフトバンク(通信事業)は主要3社の中で利益率は最下位。上位2社が逼迫した競争をする中、ソフトバンクははなされている

・ 契約回線数も同じ状況。ブロードバンド事業の売上は増加するも、通信事業全体から見ればその影響は小さく、利益率も悪い。ブロードバンドで稼ぐためには更なる一層の投資が必要

・ 携帯もネットも国内普及率が高いため、短期間での売上急増を見込むことは困難

  * 携帯電話・インターネット契約数は、近年のwifi拡大に伴い増加もトータルでも前年比7,8%程度<結論のみ、詳細は:携帯電話・PHSなど合わせて181.7%の普及率…総務省による携帯電話の最新普及実態をさぐる(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

要は、「この先も業界3位を脱する見込みはなさそうで、厳しそうですね」ということです。

 

(あーまだ200ページは残ってるよ。。。)

 

B)将来予測

端的に言えば、ソフトバンクは事業拡大のために以下を考えているそうです

 ・ 顧客層の拡大(SoftBank 光、おうち割のセット、ワイモバイル(低価格向け) 等)

 ・ 技術革新(情報通信技術、5G、AI等)による基幹サービスの拡充

 ・ 同じく技術革新(リチウム空気電池等の開発とドローン等への応用)

   下2つは、ビジョンファンドで育てた企業を通信事業を組ませる見込みなのかもしれません。

 

私の感覚を含みますが、今後数年は他社に離されないようこれまでのやり方を踏襲しつつ、5G技術が製品化できるレベルになった時期に、IOT、AIと5Gを組み合わせた製品により市場を一気に奪うことを考えているように読めます。そこには、SVF(ビジョンファンド)が保有する世界の先端テクノロジーとの融合がカギになるのでしょう。

 

では、それらが実現し収益化に貢献するのはいつ頃なのか。

・・・調べようと思ったら、ソフトバンクがたくさんのウェブサイトを作ってます。本気でしたね。

 

5Gは2020年に商用化が見込まれる。これにより、あらゆる場所で通信の高速化が実現できる。5Gの市場は基地局と5G対応エッジ機器であり、後者(26兆円/2023年)が前者(4兆円/2023年)の6倍強。

 

前者は、ファーウェイ、ノキア・・・と続きますが、先日ソフトバンクは「ファーウェイ社製品は一切使いません」と言ってしまいました。他社から調達できるのでしょうか。そもそもファーウェイが技術的に先行していましたが、ファーウェイ以外の企業で2020年に間に合うかが懸念されます。遅くなることはあっても、早くなることはないでしょう。

 

後者については、スマートフォン、スマートグラス、スマートウォッチ、カーナビ・IVIシステム、デジタルサイネージ、ドローン、スマートスピーカー、監視カメラ、VOD・AR/VR、自動運転システム、遠隔医療、遠隔ロボット操作、教育(すべて富士キメラ社より:2018 5G/高速・大容量通信を実現するコアテクノロジーの将来展望 (市場調査レポート)などがあります。

 

つまり、ソフトバンクは各種用途に対応するための企業をビジョンファンドで投資しているのでしょう。スマホは当然、ドローン、自動運転など市場が大きくなりそうな分野の有望企業が投資先です。

 

さすがに疲れてきたのでずいぶん端折りますが、

・ 5Gの実現まで、ソフトバンク通信事業が大きく業績を拡大するための手段は存在せず、ドコモ、KDDIソフトバンクの順番は変わらない

・ 2020年に5Gが商用化される予定(ソフトバンク社HP)だが、そのためには基地局と対応製品(スマホ、自動運転・・)の両社が揃う必要がある

・ 基地局では、世界先端と言われているファーウェイ社の不使用を明言。遅延する感は否めない。対応製品は、SVFの投資先企業の技術構築の進捗次第だが、必ず競合は存在する

  **懸念されるのが、世界経済の後退です。今のように、投資先に資金をばらまくことが今後も可能なのでしょうか。資金調達はどうなるのか。金利が上がることはないと思いますが・・・

 

そして最後に、競合動向としてドコモの値引きの話。

来年は携帯電話料金を19年4-6月に20~40%値下げすることを発表しました。ソフトバンクから顧客が流出する可能性は高く、引き留めるためには値下げ・キャッシュバックが求められるため、経営状況はより悪化するかもしれません。

C)株価動向

非常に長くなってしまいましたし、疲れたので、ここは結論だけ。

・ 株価は競合他社のPERと同等か下回る程度となるのではないか(=10~13%程度)

・ 株価は15万円と手ごろなため、個人投資家は手を出しやすい価格帯

・ 利回り5%と優秀。大きく下がった場合には買いざさえられるかもしれないが、高値では利回りが薄まる

・ 時価総額が大きいため、個人投資家好みではないか。機関投資家が買うには、将来性に疑問符?

 

ちなみに、1年前のデータを使えば1株あたり当期純利益は92.75円として、1500円で計算するとPERが16.1倍と割高な印象です。

 

1500円という株価は、利回り5%を死守するための価格とも聞いたことがあります。PERが高いと思うなら、もう少し配当を上げるのが正しいと思いますが。

 

ということで、私はソフトバンクは1500円は高いと思います。頼りのイナゴが集まってくれれば大丈夫ですが、時価総額が大きすぎて、目玉となるニュースもありませんので、任天堂やユニーファミマのようにイナゴの襲来は厳しいかもしれません。

 

むしろ、当ブログでも記載したとおり<絶不調-昨日は日経もダウも私の体調もダウン - 投資は情報量と分析力がすべて>、ソフトバンクは通信障害でIPOを延期しても良かったのだと思いますが、色々あって、IPOを急ぎたかったように感じます。

 

個人的には、ファミチキなんていらんから安くしてくれって感じです。

 

投資は自分で判断したうえで、自己責任でお願いします。当ブログは自己見解に基づきます。